誰の歴史かを改めて考える
10月14日
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荒木菜見子、石榑督和らの繊維問屋街研究体が写真のような本を送ってくれました。岐阜駅前に残っていた繊維問屋街の歴史をまとめたものです。荒木さんが都市史研究の魅力的素材として見つけてきたハルピン街から始まり、それがどのようように問屋街に発展・再編していったかを丹念にまとめたものです。風媒社刊ですが、この出版社は、古地図で楽しむ○○や、○○の昭和30年代を歩くなど、岐阜、愛知、東海の、カジュアルな歴史地理シリーズを出しているところで、本書もその枠内にピッタリはまる本のように思えます。しかし、中身は戦後を扱ったかなり硬派な都市史論文と言ってよいものです。それでも、やはり論文集とは違う。全体の構成やレイアウト、そのビジュアルは明らかに一般の読者に向けたものです。ここがおもしろい。たまたまこうした出版社の本としてまとめたからそなったというわけではなく、あえてそうした編集・構成をしたという意思が読み取れます。石榑さんが送ってくれた500ページ近い大著『闇市と東京』でも、同じことが読み取れます。こちらは、ご自身のこれまでの論文を集めた論集になっているのですが、監修した高島屋資料館の企画展「闇市と都市」での構想が成果が全体の構成の柱になっている。どのようにしたら闇市を知ってもらえるか、ということが話の筋になっているのです。都市史研究では、史料や聞き取りで地域にお世話になるため、その成果は地域に還元しなくてはならないと思われてきましたが、それとはちょっと違う。成果は、学術界ではなく地域がに向けて発信され、そこで価値が生まれる。そんな意識が育ちつつあるのだと思いました。





