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別荘庭園

  • 3月16日
  • 読了時間: 2分

更新日:3月25日

 佐野静代著『近代の政治家と京都の別荘庭園』(吉川弘文館)という本について。京都東山の別荘庭園の歴史については、尼崎博正や矢ヶ崎善太郎による研究で、それが琵琶湖疏水によって作られていった過程を学ばさせてもらっていた。さらに、鈴木博之の『庭師小川治兵衛とその時代』では、そこに明治の財閥・実業家の数寄者たちが関わっていった事態を描いていて、琵琶湖疏水というインフラ事業の研究が、実業家たちの人脈にまで広がることを示していた。こうして、空間の構築や再編を、それによって生まれる人脈の流れのようなものにまで波及していくようすを読み込むこという研究は、まさに歴史研究の醍醐味となるものだと思っていたが、この本はさらに、その人脈に政治家たちがいたことを明らかにしたものである。財閥の別邸などとは異なり、政治家の邸宅は、その政治的地位を失うと、たちどころに失われてしまう。そこで、そうした失われた邸宅郡の発掘や検証も緻密に行い、その邸宅郡が、清末以来の日中関係史の舞台にもなっていたという事実まで掘り起こすことになる。サブタイトルが「琵琶湖疏水がむすぶ水脈と人脈」となっているが、まさしく別荘庭園群に流れていた人脈の全容を明らかにした労作であると言えるだろう。とてもおもしろかった。


 
 
605-0817 京都市東山区大和大路松原下ル弓矢町37
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