生活の保存
- pafumars
- 2024年9月24日
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札幌に調査に出かけたおり、半日時間が空いてしまったため、何十年かぶりに北海道開拓の村に行ってきました。野外建築博物館で、53もの建築が移築保存されているのですが、特徴は庁舎建築から庶民住宅まできわめて多様な建築を見ることができることです。とりわけ派出所や商店、農家、炭焼小屋、屯田兵屋など小さな建物が数多く移築されていて、そのどれもが内部空間までをちゃんと再生していてそこに詳細な解説が施されていることです(写真は旧山本理髪店)。なかには、リアルな当時の人物人形も置かれていて、しゃべったりもします(これはちょっと不気味)。1983年に開村してから40年もたつわけですが、メンテナンスが行き届いていて、いま見ても新鮮です。文化財になっているものも少数あるようですが、ほとんどは未指定。なので、修復なども思い切ってできるのでしょうね。このあたりは、明治村などとは違うところ。
ところで、訪れたのは平日の小雨が降るなかだったのですが、来園者はすごく多くて、若い人たちが多い。実は、人気漫画「ゴールデンカムイ」の聖地巡礼でかなりの人気になっているとのこと。金カム(そのように略すそうです)は、日露戦争後の北海道・樺太を舞台とした金塊をめぐるサバイバルバトルなのですが、この施設内にある52のうち、33もの建物が漫画に登場したと。つまり、かつての北海道の暮らしを描くために、移築保存された建物の姿が使われたわけですね。
歴史の価値をどう保存するのか。建築単体が持ち得る価値も大きいし、だからこそ文化財となるのですが、暮らしの空間、あるいはそこでの時代的様相・雰囲気にも保存する価値があるのだと改めて認識させられました。開拓の村は、ちゃんとメインストリートを中心にして、市街地群、漁村群、農村群、山村群にちゃんとエリアをわけてあります。
