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学術研究のモチベーションを支える仕事

  • pafumars
  • 3月14日
  • 読了時間: 2分

 3月8日に開催した土地と人間研究会では、エルメスジャポンの二人(説田礼子さん、横山優子さん)をお招きして「エルメス財団編『土 Savoir & Faire La Terre』を読む」というテーマで議論をしました。とてもおもしろかった。この『土』については、以前のこのブログで書いたので、そちらを参照いただきたいのですが、土をめぐる技術、アート、陶土・焼き物の歴史など多様な素材をまとめた本です。今回さまざまな論点からこの本が登場した意味について議論したのですが、実はエルメス財団は、美術展のようなことも頻繁に行っているし、そこから発展したようにして教育事業にも積極的なのです。ここまで文化事業にのめり込む企業というのは珍しいのだけど、さらに驚くのは、それが企業の広告や宣伝のためとは見えない点です(多少はあるかもしれないけど)。パリにはたくさんの屋上庭園を持っていて、そこで庭園の維持に従事する庭師も雇い、そこで採れた野菜などで作った料理を振る舞う(あくまで社員に)レストランもあるのだとか。そういった話をたくさん聞いたのですが、なんだかエルメスとは営利企業というようりも世界規模の文化事業体のような存在に思えてきます。(お土産(?)には、竹宮恵子による漫画『エルメスの道』(図)をいただきました。)

 そして改めて感じたのは、この本が、そうした企業体によって、まるで美術館によるキュレーションのような作業によって生み出されたものであることです。いやいや、そのキュレーションは、展示を前提にした美術館では決してできないものです。研究論集の編集ともまるで違う。とても自由で、今の文化のありかを広い視野で集めて編さんしたもので、とても新鮮なものになっていると思います。こうした仕事は、明らかにわれわれのような学術研究者を刺激します。私自身も、この本とこの研究会の議論から新たな研究テーマのヒントをもらえたように思います。



 
 
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